最もシンプルには次のとおりである.
$ ./configure --prefix=install_dir
これにより, ビルドに必要なコンパイラやライブラリ等の環境のチェックが行われ, Makefile等が作成される. ただし install_dir はインストール先のディレクトリの絶対パスとする (以後各自のディレクトリ名で読み替えること). なにも指定しないと /use/local/ が設定され, 後述の make install で /usr/local/lib 内にライブラリが置かれる (したがって, 管理者権限がない場合には install_dir を 別の場所に指定しなければならない). configure にはこの他にも様々なオプションがあり,必要に応じて用途や環境に合わせてそれらを使用する. 詳しくは configureのオプション を参照.
configure の実行が正常に行われ, Makefile が生成された後は
$ make
とタイプしてライブラリ等のビルドを行う.これが成功したのちに
$ make install
とすると, ライブラリが install_dir/lib に, ミニアプリが install_dir/bin に置かれる. make install をしなくても, ビルドをしたディレクトリ内にあるライブラリやミニアプリを使うことは可能であるが, 使い勝手がやや異なる.
共有リンクを行ったプログラムの実行時にライブラリを探しにいけるよう, 環境変数 LD_LIBRARY_PATH に \(K\omega\) をインストールしたディレクトリを追加する.
$ export LD_LIBRARY_PATH=${LD_LIBRARY_PATH}:install_dir/lib
configureには多数のオプションと変数があり, それらを組み合わせて指定する. 指定しない場合にはデフォルト値が使われる.
$ ./configure --prefix=/home/komega/ --with-mpi=yes FC=mpif90
おもなものを次に挙げる.
---prefix
デフォルト: ---prefix=/usr/local/. ライブラリ等のインストールを行うディレクトリツリーを指定する.
--with-mpi
デフォルト: --with-mpi=no (MPIを用いない). MPIを用いるか (--with-mpi=yes), 否かを指定する.
--with-openmp
デフォルト: --with-openmp=yes (OpenMPを用いる). OpenMPを用いるか否か (--with-openmp=no) を指定する.
--enable-shared
デフォルト: --enable-shared. 共有ライブラリを作成するか否か
--enable-static
デフォルト: --enable-static. 静的ライブラリを作成するか否か.
--disable-zdot
デフォルト: --enable-zdot. MacOSXの標準のBLAS等では, ZDOTCおよびZDOTU関数が正常に動作しないため, このオプションでこれらの関数を使わないようにする.
--enable-threadsafe
デフォルト: --disable-threadsafe. もしもOpenMPのパラレルリージョンの内側で \(K\omega\) を呼び出したい (それぞれのスレッドで異なる問題を解きたい)場合には, このオプションを用いる (試験的).
FC
デフォルト: システムにインストールされているfortranコンパイラをスキャンして, 自動的に設定する. --with-mpiP を指定した時にはそれに応じたコマンド (mpif90 等)を自動で探し出して設定する. configure の最後に出力される FC が望んだものでは無かった場合には ./configure FC=gfortran のように手で指定する.
--help
このオプションを指定した時には, ビルドの環境設定は行われず, 上記を含めたすべてのオプションを表示する.