6.2. 乱雑位相近似法¶
乱雑位相近似(RPA)では相互作用のない状態を出発点に、電子相関効果による一体の演算子の揺らぎの応答を検出します。 UHF近似ではあらかじめ初期配置を予想しておく必要があるのに対して、RPA法では2次転移により生じる秩序相を推定することが可能です。 H-waveでは松原振動数を利用したRPA法を実装しており、解析接続によって実験で観測される動的な物理量との比較も行うことが可能です。
以下、アルゴリズムについて掲載します。 H-waveのRPAモードでは以下のHamiltonianを取り扱います。
ここで、以下のフーリエ変換
を行うと、Hamiltonianは以下のように書き換えられます。
RPAでは
ここで、
であり、
既約感受率は対角化された成分で閉じる必要があるため、以下のように与えられます。
この既約感受率を用いることで、RPAで得られる感受率が以下のように得られます。
ここで、
上記の実装では、軌道とスピンを統一した一般化軌道として取り扱いました。計算の実行に必要な配列のうち、 感受率(
と書けます。軌道に対しては同一の軌道での散乱となるため、既約感受率は
となり、
となります。
と書けることがわかります。以上が一般的なRPAの定式化になります。
上述の近似では既約感受率の計算を
として行っています。この場合、対角化した成分の和が必要となり、計算コストが多くかかってしまいます。 そのため、先行研究の多くは一体グリーン関数を
のように近似し、既約感受率を
として計算して高速化する場合が多いです。
この既約感受率を用いた計算では、対角化成分が混在してしまう状況で近似精度が悪くなりますが、
バンド交差による