5.2. tenes の入力ファイル

• ファイルフォーマットは TOML 形式

• parameter, lattice, evolution, observable, correlation の5つのセクションを持ちます。

  • 将来的にはファイル名を指定することで分割可能にする予定です。

5.2.1. parameter セクション

更新回数など、種々のパラメータを記述します。このセクションのみ、各々のパラメータにデフォルト値が存在します。 サブセクションとして tensor, simple_update, full_update, ctm, random を持ちます。

parameter.tensor

名前	説明	型	デフォルト
D	中心テンソルがもつ virtual ボンドの次元	整数	2
CHI	角転送行列の virtual ボンドの次元	整数	4
save_dir	最適化後のテンソルを書き込むディレクトリ	文字列	""
load_dir	初期テンソルを読み込むディレクトリ	文字列	""

• save_dir - 最適化後のテンソルをこのディレクトリ以下に保存します - 空文字列の場合は保存しません

• load_dir - 各種テンソルをこのディレクトリ以下から読み込みます - 保存したときと同じ並列度である必要があります - 空文字列の場合は読み込みません

parameter.simple_update

名前	説明	型	デフォルト
num_step	simple update の回数	整数	0
lambda_cutoff	simple update でゼロとみなす平均場のcutoff	実数	1e-12

parameter.full_update

名前	説明	型	デフォルト
num_step	full update の回数	整数	0
env_cutoff	full update で環境テンソルを計算する際にゼロとみなす特異値のcutoff	実数	1e-12
inverse_precision	full update で擬似逆行列を計算する際にゼロとみなす特異値のcutoff	実数	1e-12
convergence_epsilon	full update でtruncationの最適化を行う際の収束判定値	実数	1e-12
iteration_max	full update でtruncationの最適化を行う際のiterationの最大回数	整数	1000
gauge_fix	テンソルのゲージを固定するかどうか	真偽値	true
fastfullupdate	Fast full update にするかどうか	真偽値	true

parameter.ctm

名前	説明	型	デフォルト
projector_cutoff	CTMのprojectorを計算する際にゼロとみなす特異値のcutoff	実数	1e-12
convergence_epsilon	CTMの収束判定値	実数	1e-10
iteration_max	CTMの収束iterationの最大回数	整数	100
projector_corner	CTMのprojector計算で1/4角のテンソルのみを使う	真偽値	true
use_rsvd	SVD を 乱択SVD で置き換えるかどうか	真偽値	false
rsvd_oversampling_factor	乱択SVD 中に計算する特異値の数の、最終的に用いる数に対する比率	実数	2.0

parameter.random

名前	説明	型	デフォルト
seed	テンソルの初期化や乱択SVD に用いる疑似乱数生成器のシード	整数	11

MPI 並列において、各プロセスは seed にプロセス番号を足した数を実際のシードとして持ちます。

例

[parameter]
[parameter.tensor]
D  = 4     # tensor_dim
CHI  = 16  # env_dim

[parameter.simple_update]
num_step = 1000

[parameter.full_update]
num_step = 1

[parameter.ctm]
iteration_max = 5

5.2.2. lattice セクション

「ユニットセル」の情報を記述します。 ユニットセルは Lx かける Ly の大きさをもつ長方形の形をしています。

名前	説明	型
L_sub	ユニットセルの大きさ	整数または整数のリスト

L_sub として2つの整数からなるリストを渡した場合、はじめの要素が Lx に、もう片方が Ly になります。 3つ以上の要素からなるリストを渡した場合にはエラー終了します。 L_sub として整数を渡した場合、 Lx と Ly とが等しくなります。

ユニットセル内のサイトは0から順番に番号付けされます。 x 方向から順に並びます。

L_sub = [2,3] としたときの例:

y
^     4 5
|     2 3
.->x  0 1

ボンドの情報は evolution や observable で与えられます。

5.2.3. evolution セクション

simple update, full update で使う虚時間発展演算子を記述します。

名前	説明	型
matrix	虚時間発展演算子の行列表現	文字列のリスト
simple_update	simple update における、虚時間発展演算子のインデックスと作用するボンドの順番	文字列
full_update	full update における、虚時間発展演算子のインデックスと作用するボンドの順番	文字列

matrix

• ひとつの文字列がひとつの行列を意味します。

• 列は１つ以上の空白で区切られ、行は１つ以上の改行で区切られます。

• 定義した順番がそのまま行列の番号に対応し、 *_update での指定で使われます (0-origin)。

simple_update, full_update

• 1行が1回の演算子作用を表します。

• 各行は int int char int の４つのフィールドからなります。

  1. ボンドがつながるサイト

  2. ボンドがつながるサイト

  3. 横方向 (h) か縦方向 (v) か

  4. 演算子番号 (0-origin)

例

[evolution]
simple_update = """
0 1 h 0
3 2 h 0
2 3 h 0
1 0 h 0
0 2 v 0
3 1 v 0
2 0 v 0
1 3 v 0
"""

full_update = """
0 1 h 0
3 2 h 0
2 3 h 0
1 0 h 0
0 2 v 0
3 1 v 0
2 0 v 0
1 3 v 0
"""

matrix = [
"""
0.9975031223974601 0.0 0.0 0.0
0.0 1.0025156589209967 -0.005012536523536887 0.0
0.0 -0.005012536523536888 1.0025156589209967 0.0
0.0 0.0 0.0 0.9975031223974601
"""
]

5.2.4. observable セクション

物理量測定に関する諸々を記述します。

名前	説明	型
local_operator	サイト演算子 (ex. Sz)	文字列のリスト
hamiltonian	ボンドハミルトニアン	文字列のリスト
hamiltonian_bonds	ボンドハミルトニアンの種類と作用するボンドの組	文字列

local_operator, hamiltonian

evolution.matrix と同様。 定義した順番がそのまま演算子・ハミルトニアンのインデックスに対応します。

hamiltonian_bonds

evolution.simple_update と同様。

例

[observable]
local_operator = [
"""
  0.5  0.0
  0.0 -0.5
""",
"""
  0.0 0.5
  0.5 0.0
""",
]

hamiltonian_bonds = """
0 1 h 0
3 2 h 0
2 3 h 0
1 0 h 0
0 2 v 0
3 1 v 0
2 0 v 0
1 3 v 0
"""

hamiltonian = [
"""
  0.25   0.0    0.0     0.0
  0.0   -0.25   0.5     0.0
  0.0    0.5   -0.25    0.0
  0.0    0.0    0.0     0.25
""",
]

5.2.5. correlation セクション

相関関数 C = <A(0)B(r)> を指定するセクション

名前	説明	型
r_max	相関関数の距離 \(r\) の最大値	整数
operators	相関関数を測る演算子 A, B の番号	整数のリストのリスト

演算子は observable セクションで指定したものが用いられます。

例

[correlation]
r_max = 5
operators = [[0,0], [0,1], [1,1]]