5.1. tense_simple の入力ファイル

• ファイルフォーマットは TOML 形式

• model, parameter, lattice, observable, correlation の5つのセクションを持ちます。 なお、 observable, correlation セクションは、 エキスパートモードの入力ファイルと共通です。

  • 将来的にはファイル名を指定することで分割可能にする予定です。

5.1.1. parameter セクション

parameter セクションの内容は、そのまま出力の parameter セクションにコピーされます。

また、 simple update と full update における虚時間発展演算子の虚時間刻み幅を サブセクション simple_update, full_update で指定できます。

名前	説明	型	デフォルト
tau	虚時間発展演算子における虚時間の刻み幅	実数	0.01

以下は tenes の入力ファイルと共通のパラメータになります。

parameter.tensor

名前	説明	型	デフォルト
D	中心テンソルがもつ virtual ボンドの次元	整数	2
CHI	角転送行列の virtual ボンドの次元	整数	4
save_dir	最適化後のテンソルを書き込むディレクトリ	文字列	""
load_dir	初期テンソルを読み込むディレクトリ	文字列	""

• save_dir - 最適化後のテンソルをこのディレクトリ以下に保存します - 空文字列の場合は保存しません

• load_dir - 各種テンソルをこのディレクトリ以下から読み込みます - 保存したときと同じ並列度である必要があります - 空文字列の場合は読み込みません

parameter.simple_update

名前	説明	型	デフォルト
num_step	simple update の回数	整数	0
lambda_cutoff	simple update でゼロとみなす平均場のcutoff	実数	1e-12

parameter.full_update

名前	説明	型	デフォルト
num_step	full update の回数	整数	0
env_cutoff	full update で環境テンソルを計算する際にゼロとみなす特異値のcutoff	実数	1e-12
inverse_precision	full update で擬似逆行列を計算する際にゼロとみなす特異値のcutoff	実数	1e-12
convergence_epsilon	full update でtruncationの最適化を行う際の収束判定値	実数	1e-12
iteration_max	full update でtruncationの最適化を行う際のiterationの最大回数	整数	1000
gauge_fix	テンソルのゲージを固定するかどうか	真偽値	true
fastfullupdate	Fast full update にするかどうか	真偽値	true

parameter.ctm

名前	説明	型	デフォルト
projector_cutoff	CTMのprojectorを計算する際にゼロとみなす特異値のcutoff	実数	1e-12
convergence_epsilon	CTMの収束判定値	実数	1e-10
iteration_max	CTMの収束iterationの最大回数	整数	100
projector_corner	CTMのprojector計算で1/4角のテンソルのみを使う	真偽値	true
use_rsvd	SVD を 乱択SVD で置き換えるかどうか	真偽値	false
rsvd_oversampling_factor	乱択SVD 中に計算する特異値の数の、最終的に用いる数に対する比率	実数	2.0

parameter.random

名前	説明	型	デフォルト
seed	テンソルの初期化や乱択SVD に用いる疑似乱数生成器のシード	整数	11

MPI 並列において、各プロセスは seed にプロセス番号を足した数を実際のシードとして持ちます。

例

[parameter]
[parameter.tensor]
D  = 4     # tensor_dim
CHI  = 16  # env_dim

[parameter.simple_update]
num_step = 1000

[parameter.full_update]
num_step = 1

[parameter.ctm]
iteration_max = 5

5.1.2. lattice セクション

計算する格子を指定します。 正方格子 (square lattice) と 蜂の巣格子 (honeycomb lattice) が定義されています。

名前	説明	型	デフォルト
type	格子名 (square lattice もしくは honeycomb lattice)	文字列	--
L_sub	ユニットセルの大きさ	整数もしくは2つの整数からなるリスト	--

ユニットセルは Lx かける Ly の大きさをもつ長方形の形をしています。 L_sub として2つの整数からなるリストを渡した場合、はじめの要素が Lx に、もう片方が Ly になります。 3つ以上の要素からなるリストを渡した場合にはエラー終了します。 L_sub として整数を渡した場合、 Lx と Ly とが等しくなります。

ユニットセル内のサイトは0から順番に番号付けされます。 x 方向から順に並びます。

L_sub = [2,3] としたときの例:

y
^     4 5
|     2 3
.->x  0 1

正方格子 square lattice

ボンドは水平方向 (0) と垂直方向 (1) の2種類あります（下図の - と | に対応）。

L_sub = 2 のときのユニットセルは次の通り:

0   1
|   |
2 - 3 - 2
|   |
0 - 1 - 0

蜂の巣格子 honeycomb lattice

ユニットセルの大きさ (L_sub の各要素)は偶数でなければなりません。

ボンドはx (0), y (1), z (2) の3種類あります（それぞれ、下図の -, ~, | に対応）。 偶数番のサイトは右(x)、左(y)、上(z) に伸びるボンドを持ち、 奇数番のサイトは左(x)、右(y)、下(z) に伸びるボンドを持ちます。

L_sub = 2 のときのユニットセルは次の通り:

0   1
    |
2 ~ 3 - 2
|
0 - 1 ~ 0

5.1.3. model セクション

計算する模型を指定します。 スピン系 (spin) が定義済みです。

名前	説明	型	デフォルト
type	模型の種類	文字列	--

模型の種類によって相互作用などのパラメータ名が変わります。

スピン系 spin

スピン系

\[\mathcal{H} = \sum_{\langle ij \rangle}\left[\sum_\alpha^{x,y,z} J^\alpha_{ij} S^\alpha_i S^\alpha_j + B \left(\vec{S}_i\cdot\vec{S}_j\right)^2 \right] - \sum_i \left[ h S^z_i + \Gamma S^x_i - D \left(S^z_i\right)^2 \right]\]

名前	説明	型	デフォルト
S	局所スピンの大きさ	実数	0.5
Jx	交換相互作用J のx 成分	実数もしくは実数のリスト	1.0
Jy	交換相互作用J のy 成分	実数もしくは実数のリスト	1.0
Jz	交換相互作用J のz 成分	実数もしくは実数のリスト	1.0
BQ	双二次相互作用B	実数もしくは実数のリスト	0.0
h	縦磁場 h	実数	0.0
G	横磁場 \(\Gamma\)	実数	0.0
D	オンサイトスピン異方性 D	実数	0.0

交換相互作用および双二次相互作用としてリストを与えることで、格子ボンドの種類ごとに相互作用の大きさを変えることができます。 リストの要素数が格子ボンドの種類より少ない場合、足りない分は指定された最後の要素で埋められます。

5.1.4. observable セクション

tenes_simple ではデフォルトでは、物理量測定に使われる局所物理量として、 \(S^z\) と \(S^x\) が定義されます。 より詳細な物理量測定は、 tenes の入力ファイルで指定する observable セクションと共通のフォーマットで指定することができます。詳細は、tenes の入力ファイル の observable セクションをご覧ください。

5.1.5. correlation セクション

tenes_simple では相関関数 C = <A(0)B(r)> はデフォルトでは計算されません。 相関関数を計算したい場合は、 tenes の入力ファイルで指定する correlation セクションと共通のフォーマットで指定することができます。詳細は、tenes の入力ファイル の correlation セクションをご覧ください。